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長野家庭裁判所諏訪支部 昭和45年(少)103号 決定

少年 R・J(昭二八・一二・一生)

主文

本人をこの決定の日から昭和五〇年三月一九日まで長野保護観察所の保護観察に付する。

理由

(非行事実)

本人は、昭和四七年六月一五日当裁判所において道路交通法違反保護事件により長野保護観察所の保護観察に付され、現に保護観察中の者であるが、

第一保護観察開始当初より勤労意欲に乏しく、忍耐力に欠け、一定の職業に定着せず、転職を繰り返し、かつ、不良交友による夜遊び、ボンド吸引を続け、保護者の正当な監督に服さない

第二保護司の積極的な指導にもかかわらず、依然として不良交友を続け、無断外泊、夜遊び、友人らとシンナー吸引に耽溺し、その結果入水自殺をはかるなど、自己の徳性を害する行為をする性癖を有するもので

その性格、環境に照し、将来罪を犯す虞れがあるものである。

(上記事実に適用すべき法令)

少年法三条一項三号イ、ニ

(保護処分に付する事由)

本人は、保護観察中、再三再四にわたる保護観察官および保護司の指導にもかかわらず、依然として素行修まらずその行状は悪化の傾向にあり、たまりかねた保護者からの施設収容の希望もあつて昭和四八年六月二五日長野保護観察所長から犯罪者予防更生法四二条一項にもとづく通告があつた。右通告受理後、当裁判所調査官の調査呼出に対し、一回は応じたものの以後所在をくらまし昭和四八年一二月一日二〇歳に達したものである。

本人の性格は意思薄弱で、積極的、自主性に欠け、無気力ですぐ逃避的となり、その上自己顕示欲、被影響性が強いため、不良交友(ボンド仲間)と結び易くそれらの者との集団行動も多い。また、保護者の保護態度の不一致も一層本人の性格を不安定にしている状況にあり、素質的には薬物依存への傾向は有していると認められる。しかし、現段階では中毒症状には至つておらず、精神障害も認められない。また、上記性格偏倚はみられるものの、反社会性そのものは微弱といえる。保護者も現在は在宅保護を望んでいることなどを考慮し、本人を新たな保護観察に付するを相当と認め、犯罪者予防更生法四二条三項、少年法二四条一項一号、少年審判規則三七条一項前段により、主文のとおり決定する。

(裁判官 田村洋三)

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